弱みもお伝えします。防府市・山口市で高圧受電設備を守る正直な保安管理
沼田電気保安パートナーズ
駐車場の隅や建物の裏手に、灰色の金属の箱が置かれているのを見かけたことはないでしょうか。キュービクルと呼ばれる、高圧の電気を受け取るための設備です。
普段は誰も気に留めません。けれども中では6,600ボルトの電気が流れていて、法律で定期的な点検が義務づけられています。そして、あの箱から先はすべて、その建物を使う事業者の資産です。
山口県防府市の沼田電気保安パートナーズ・沼田健太さんは、その「見えない安全」を預かる電気管理技術者です。工場での設備保全15年、電気保安法人での保安管理9年を経て、2026年4月に独立。法令遵守、保工分離(電気保安と電気工事を分ける)の考えに重きを置き、個人事業主として事業を行われておりますが、自分の弱みもお客様へ伝えるという、少し変わったスタンスで仕事をしています。防府市と山口市を中心に動く理由と、事業に対する姿勢や想いについて、お話を伺いました。
この記事の目次
駐車場の隅のあの箱は、実は御社の資産です
── そもそも、どういうお仕事なのでしょうか。
沼田さん: 6,600ボルトの高圧で電気を受けている事業所には、電気事業法で電気主任技術者を置く義務があります。電気のマネージャーのようなものです。その役割を、事業所に代わって外部からお引き受けするのが私の仕事です。国家資格と実務経験があって、経済産業省の審査を通れば、保安法人だけでなく個人でも行うことができます。
── 工場や大きなビルの話でしょうか。
沼田さん: それが、そうでもありません。コンビニも高圧受電ですし、レントゲンやMRIのある個人病院もそうです。保育園、スーパー、ドラッグストアなど、皆さんが思っているより、ずっと身近にあります。
駐車場の隅にある小さな箱。あれが該当します。ただ、ご自身の会社の設備だと意識されていない方が多いです。電力会社が管理してくれていると思われている方もいます。しかしながら、あそこから先はすべてお客様の資産です。壊れれば、お客様の負担で直すことになります。
工場で15年、保安法人で9年。使う側と守る側の両方を見てきた
── これまでのご経歴を教えてください。
沼田さん: 最初は新聞印刷工場の設備保全でした。4,000kVA規模の受電設備を、15年間見ていました。ただ、その頃は内勤でしたから、お客様と接する仕事はしていませんでした。自分の会社の設備を、ひたすら守っていました。
その後、電気保安法人に移って9年。ここで初めて外に出て、一軒一軒のお客様と向き合う仕事をするようになりました。定期点検から、夜間や休日の緊急対応までです。
── 独立を決めたのはなぜですか。
沼田さん: お客様と接するうちに、この立場でもっとお役に立ちたいという気持ちが強くなっていきました。ただ、組織の中でできることには限りもあります。個人でやれば、一軒一軒にもっと深く関われるのではないか、と考えました。
3月まで前職に籍を置いて、4月1日付で独立し、個人として申請しました。認可が下りた5月から本格的に業務を始めています。まだ5か月目です。
設備を使う側と守る側、両方を見てきたことは、思っていた以上に役立っています。工場では、いろいろな機械や電気のトラブルを経験しましたので、設備との向き合い方、原因を切り分けていくスタンスなどが身につきました。その後、所属していた保安法人では、法令遵守の運用や電気保安のノウハウ、機材の適正管理などが身につきました。
純粋な「主治医」として中立な立場でお客さまへ貢献する
──「保工分離(電気保安と電気工事を分ける)」という考えに重きを置かれているそうですね。
沼田さん: はい。「保工分離」に重きを置いています。
私の立場は、「電気工作物の工事、維持および運用の保安の監督」をすることが一番の責務です。主に定期点検でお客様や設備に関わりますが、点検結果で、悪いところや設備が古くなれば改修や更新をお願いします。お客さまへ改修や更新をお願いした事項について、工事が実施される際、適正に工事されているか、工事された結果に問題がないか、確認、試験、検査に徹するべきだと思っています。私の立場は、工事をするのではなく、工事の保安の監督をすることが役割ですので、電気の主治医でありお客様と工事業者さんとは中立であるべきだと考えています。
ただ、先日、点検にお伺いした際に、スポットクーラーで使っているコンセントが約130℃まで過熱していました。お客さまへ報告、ご説明し、緊急で取替をさせていただきました。業務の運用上、緊急時の簡易的なトラブル対応や応急処置などは、実費程度で親身に対応しています。
── 実際に、その中立さはどんな場面で効いてきますか。
沼田さん: 弊社では、停電点検の結果をもとに、「受電設備リスク可視化サポート」という資料もお付けしています。
これは、設備や機器ごとに、現在の状態や経過年数、事故につながるリスク、対応の優先度、そしておおよそのコスト感などを一覧にしたものです。
電気を安全に、そして安定して使い続けていくためには、設備に対して適正にコストをかけていくことも必要だと私は考えています。
ただ、設備の改修や更新といっても、すべてを一度に行うのは現実的ではありません。そこで、お客様が「どこから優先してお金をかけていくべきか」を判断する際に、この資料を役立てていただきたいと考えています。
また、弊社から改修や更新をご提案したものについては、お客様が工事業者さんに見積もりを依頼される段階から、弊社も関わるようにしています。
例えば、今回行う改修・更新の目的に工事内容がきちんと合っているか、仕様は適正か、もっと費用を抑えられる工事方法はないか、といった点を工事業者さんと一緒に確認します。実際に最近も、工事業者さんと一緒に現場を確認し、内容について打ち合わせをしたうえで、お客様に見積もりを出していただきました。
このように、見積もりの段階から弊社が中立的な立場で、お客様と工事業者さんの橋渡し役として関わることで、必要な工事を適正な内容で、できるだけ無駄なく進められると考えています。
弱みもお伝えします。個人事業でできること、できないこと
── ホームページに「組織には勝てない部分」という項目を、ご自分で書かれていますね。
沼田さん: 個人である以上、大きな組織のような絶対的な事業継続性を担保できません。また、多層のバックアップ体制も持てませんし、複数名での相互チェックも組織には劣ります。そこは事実ですから、しっかりと受け止めて、事業を行っていきたいと思っています。
── 普通は書かないところだと思います。
沼田さん: 強みだけ並べても、お客様が本当に判断したいことには答えていないと考えています。強みと弱みの両方をお伝えすることが、結果的にお客様にとって最適な選択につながると考えます。
そのうえで、補う努力はしています。代務者・協力技術者のネットワークを複数名で組んでいて、緊急対応は相互に支援します。高圧事故や停電作業は必ず複数名で対応し、チェック表を活用します。業務上の賠償責任保険は最大1億円まで加入しています。点検報告書や各種資料はすべて電子で管理しています。
「弱みを隠さず、補う努力を続けることが私の誠実さだと考えております」
出典:沼田電気保安パートナーズ サイト
── 逆に、個人だからできることは。
沼田さん: 担当者が変わらないことです。同じ人間が長く同じ設備を見続けるので、設備を深く理解できますし、現場の小さな変化にも気づけます。連絡も私に直接いただけるので、対応が早いです。技術と責任を自分で背負っているぶん、判断も速いです。
組織では再現しにくい、寄り添う保安管理を大事にしています。
また、装備も個人だからと妥協はしません。開業してからの数か月で、位相特性試験装置、多機能型試験装置、耐圧トランス、リアクトル、高電圧絶縁抵抗計、絶縁・接地抵抗校正器などを順次そろえました。校正器等を持っているので、日常使いの測定器は自分で精度を定期的に確認し、試験装置など大型のものは定期的にメーカーへ出し精度を確認します。機材の品質をしっかりと保ち、お客さまの測定や試験を実施したいと思っています。
エアコンを15分ずらすだけで、基本料金は下がる
── 点検以外のご相談にも乗られるとか。
沼田さん: 省エネのご相談を受けたりします。ある保育園でのことですが、高圧の電気料金は、毎時00分~30分、30分~00分の単位で使った電力の最大値——デマンドといいます——で基本料金が決まります。例えば、朝の出勤時、7:00に全館のエアコンを一斉に入れると、起動時が一番電気を使いますので、その30分にピークが立ってしまいます。
そこで「15分ずらして入れてみてください」と園長先生にお伝えしました。
使う電力量は変わりませんが、デマンドが抑えられる場合があります。
冷房が効いたからと止めて、また入れると再びフル稼働しますから、送風に切り替えるほうがいい、といったご提案もしました。ただ、こういうことは口で言うだけでは伝わりません。必ず資料にしてお渡しします。
── 年に一度の点検についても、こだわりがあると伺いました。
沼田さん: 年次点検には、電気を止めて行う「停電点検」と、設備を動かしたまま行う「無停電点検」があります。設備の条件が合えば3年に1回で済ませられる制度もあって、私もその認可は取っています。しかしながら、私は毎年の停電点検をおすすめしています。
止めないと見えないところ、触れないところがあるからです。清掃も動作確認もできます。設備は結果的に長持ちします。
絶縁監視装置を導入しているお客さまは、漏電を遠隔監視で24時間365日見ていますので、警報が出ればすぐ駆けつけます。対応エリアを防府市と山口市を中心にしているのも、何かあったときにすぐ動ける時間・距離を優先しているからです。
📝 なぜ停電させてまで点検するのか、詳しく書かれています
無停電点検と停電点検。電気管理技術者として、私が停電点検をおすすめする理由
「当たり前」を積み重ねる。これから設備を預ける方へ
── 最後に、この記事を読んでいる事業者の方へ一言お願いします。
沼田さん: まずは、ご自身の会社に高圧受電設備があるかどうか、一度確認してみていただければと思います。駐車場の隅や建物の裏などに、灰色の箱のような設備があれば、それが高圧受電設備です。
そして、現在どなたに点検をお願いしているのか、点検の結果についてどのような説明を受けているのかも、ぜひ一度確認してみてください。
点検報告書を受け取っていても、内容まではなかなか確認する機会がない、という方もいらっしゃいます。専門的な内容も多いので、書いてあることが分からないまま保管されているケースもあると思います。
私がやっているのは、特別なことではありません。決められた点検を、一つひとつ確実に行い、その結果を分かりやすくお伝えすることです。
派手なことは何もしていません。ただ、一つひとつ確実に積み重ねていくことが、電気の安全・安心・安定につながっていくと考えています。
保安管理について、「今の体制でいいか確認したい」「現在の委託先から説明を受けている内容について、もう少し詳しく知りたい」といったご相談だけでも構いません。セカンドオピニオンのような形でのご相談も承っております。防府市と山口市であれば、すぐにお伺いできますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。
── 今後の展望は。
沼田さん: この6月には蓄電所の保安管理業務に対応した保安規程を整備して、経済産業省 中国四国産業保安監督部 電力安全課との協議も終えました。蓄電所の保安管理をお受けすることも可能です。再生可能エネルギーが増えていく中で、今後の需要にしっかり応えていきたいと考えています。
将来、会社組織にするつもりはありませんが、同じ志を持つ技術者が、それぞれ責任を持ちながら協力し合える組合のようなネットワークをつくれたらと考えています。一人でやれることには限りがありますので、信頼し協力し合えるネットワークで、地域の電力インフラを、足元から末永く支えていきたいと考えています。
【事業所情報】沼田電気保安パートナーズ
経済産業省 中国四国産業保安監督部の承認を受けた電気管理技術者による、電気事業法に基づく法定の電気保安管理業務を行っています。
- ● 代表:沼田 健太(第三種電気主任技術者・第一種電気工事士)
- ● 対応エリア:山口県防府市・山口市
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● 事業内容:
・電気保安管理業務(電気主任技術者外部委託)
・電気保安試験業務(高圧受電設備竣工試験、絶縁耐力試験、保護継電器試験/太陽光使用前自己確認の電気関係現地試験/微量PCB含有分析検査(絶縁油採油・分析手配・結果報告)/絶縁抵抗計・接地抵抗計の一般校正試験) - ● 賠償責任保険:業務上賠償責任保険 最大1億円加入
- ● インボイス制度:適格請求書対応
【沼田電気保安パートナーズからのお知らせ】
・「今の保安管理体制でいいのか、一度見てもらいたい」
・「点検報告書の中身が分からないまま、毎年受け取っている」
・「キュービクルが古くなってきたが、何から手をつければいいか分からない」
沼田電気保安パートナーズでは、防府市・山口市の事業者様からの保安管理のご相談・見直しを随時お受けしています。現在お使いの委託先がある場合でも、セカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。